TOEIC 速読トレーニング|返り読みを減らす読み方

TOEIC の速読で重要なのは、英文を飛ばし読みして WPM(1 分間に読める語数)だけを上げることではありません。内容を正しく理解し、設問の根拠を見つけながら、不要な返り読みを減らすことが重要です。特に Part 7 では、英文を自然な日本語へ訳してから理解する癖や、知らない単語で毎回止まる習慣が時間切れにつながります。本記事では、英語を前から意味のまとまりで読む方法、精読・スラッシュリーディング・音読・反復読を使った TOEIC 速読トレーニング、WPM の測り方、4 週間の学習計画まで具体的に解説します。

目次

TOEIC 速読は理解を保ったまま処理速度を上げることが重要

TOEIC で「速読できるようになりたい」と考えたとき、最初に注意したいのが、読む速度だけを追いかけないことです。

TOEIC L&R のリーディングセクションは 75 分・100 問で、Part 5 が 30 問、Part 6 が 16 問、Part 7 が 54 問あります。特に Part 7 はリーディング全体の半分以上を占めるため、一定の読解速度が求められることは間違いありません。

しかし、英文を速く目で追えても内容を理解できず、設問で何度も本文に戻っていれば、TOEIC の得点には結びつきにくくなります。

TOEIC 速読で目指すべきなのは、「理解を落とさず、必要な情報をより短い時間で処理できる状態」です。

TOEIC で求められる速読は英文を飛ばし読みすることではない

速読という言葉から、「単語を飛ばす」「視野を広げて一気に数行読む」といった方法をイメージする人もいるでしょう。

しかし、TOEIC 対策では、内容理解を犠牲にした速さを目指す必要はありません。

IIBC の公式 Part 7 速読教材でも、「訳さず読む」「効率的に解答する」「時間内に解き終える」という 3 つの力が重視され、チャンクと呼ばれる意味のまとまりで英文を語順どおりに理解するスラッシュ読みが取り入れられています。

つまり、TOEIC における速読は「読まない技術」ではなく、一度の読解で必要な意味を取る技術と考えた方が適切です。

たとえばメールの目的を問われているのに、すべての形容詞を細かく日本語訳する必要はありません。一方、日時変更が正解根拠になるなら、変更前と変更後を正確に読む必要があります。

読む場所によって解像度を変えることが、TOEIC で使える速読です。

読む速さだけでなく正答率と根拠確認も必要になる

「以前は 100WPM だったのが 150WPM になった」という変化だけでは、TOEIC 速読が成功したとは判断できません。

150WPM で読んでも内容理解度が 60%から 30%に落ちていれば、試験では正答率が下がる可能性があります。

そこで筆者は、速読トレーニングを「速度×理解度×返り読み率」の 3 指標で評価することをおすすめします。

速度は WPM、理解度は設問正答率や読後要約、返り読み率は「一度読んだ場所へ不必要に戻った回数」で測ります。

たとえば、100WPM・正答率 90%から、120WPM・正答率 88%へ伸びたのであれば、良い変化と考えられます。

一方、160WPM まで上げたものの正答率が 50%になったのであれば、速度を落として読み方を修正した方がよいでしょう。

TOEIC では、読む時間と正答数の両方を見ることが重要です。IIBC の公式速読教材でも、最初に読解所要時間を測定し、その後に確認問題で理解度をチェックする学習手順が採用されています。

単語・文法・構文の基礎不足は速読だけでは補えない

英文を速く読めない原因が、必ずしも「読む練習不足」とは限りません。

たとえば、

“Applicants who meet the requirements will be contacted by the hiring manager.”

という英文を見たときに、applicant や requirement の意味が分からなければ、読む速度は当然落ちます。

また、who 以下が Applicants を説明していることや、will be contacted が受動態だと理解できなければ、文を何度も読み直すことになります。

この状態でタイマーを使って急いでも、読解処理そのものは改善しません。

TOEIC 速読の土台は、語彙・文法・構文です。

「ゆっくりなら理解できる英文」を増やし、その英文を徐々に速く処理できるようにする。この順序を守ることが大切です。

Part 5・6 で時間を使うと Part 7 の読解時間が不足する

TOEIC 速読というと Part 7 ばかり注目されますが、時間切れを考えるなら Part 5・6 も無視できません。

現行形式では Part 5 が 30 問、Part 6 が 16 問、その後に Part 7 が 54 問続きます。リーディング全体の制限時間は 75 分です。

たとえば Part 5・6 で 30 分使えば、Part 7 には 45 分しか残りません。

一方、Part 5・6 を 22 分で処理できれば、Part 7 に 53 分使えます。その差は 8 分です。

したがって、「Part 7 が最後まで終わらない=Part 7 を読む速度だけが遅い」とは限りません。

Part 5 の品詞・文法問題を素早く判断し、Part 6 でも必要以上に全文を精読しないことが、結果的に Part 7 の速読を助けます。

まず現在の読解速度と内容理解度を測定する

TOEIC 速読トレーニングを始める前に、現在地を測りましょう。

200〜300 語程度の TOEIC レベルの英文を 1 本用意し、読み終えるまでの秒数を測ります。

WPM は、

英文の語数÷読解時間(秒)×60

で求められます。

たとえば 240 語の英文を 120 秒で読めば、120WPM です。

ただし、読み終わったら必ず内容理解も確認してください。

設問がある教材なら正答率を記録します。設問がなければ、「誰が・何のために・何を伝えた文章か」を一文で要約しても構いません。

IIBC 公式の速読教材でも、トレーニング開始前に読解時間を測り、さらに確認問題で内容理解度を確かめる手順が採られています。

「速さだけ測る」のではなく、「速さと理解をセットで測る」ことがスタート地点です。

TOEIC で返り読みが起こる主な原因

返り読みとは、英文を読み進めた後で、前に読んだ部分へ視線や意識を戻すことです。

ただし、返り読みを完全になくす必要はありません。読解研究では、読み戻りが理解のための再処理として役立つ場合もあることが指摘されています。

TOEIC 対策で減らしたいのは、理解に必要な読み直しではなく、読み方の癖によって発生する不必要な返り読みです。

英文を自然な日本語に訳そうとしている

日本人学習者に多いのが、英文を最後まで読んでから語順を並べ替え、自然な日本語を作る読み方です。

たとえば、

“The new policy announced by the company last week will take effect in September.”

を、

「会社によって先週発表された新しい方針は、9 月に施行される」

という日本語にするために、英文の後ろから前へ戻ってしまうケースです。

TOEIC 本番では、この完成された日本語を作る必要はありません。

「The new policy=新方針」「announced by the company=会社が発表」「last week=先週」「will take effect=実施される」「in September=9 月に」と、順番どおりに情報を積み上げれば十分です。

目的は翻訳ではなく理解です。

主語と動詞を見失い文の構造を取り直している

英文が長くなると返り読みが増える人は、文の骨格を見失っている可能性があります。

たとえば、

“The conference scheduled to take place at the downtown convention center next Friday has been postponed.”

では、主語は The conference、述語動詞は has been postponed です。

scheduled 以下を読んでいる途中で主語を忘れると、has been postponed まで来たときに「何が延期されたのか」と文頭へ戻ることになります。

長文を見たら、まず主語と述語動詞を意識しましょう。

修飾語が長くても、「誰が・何が」「どうした」という骨格を保持できれば、返り読みは減ります。

一語ずつ意味を確認して語順どおりに処理できていない

英文を一語ずつ、

The=その

meeting=会議

scheduled=予定された

for=〜のため

のように訳していると、文全体を組み立てるために頭の中で再処理が必要になります。

速読に必要なのは、一語ではなく意味のまとまりで読むことです。

“The meeting scheduled for Friday”なら「金曜日に予定されている会議」と一つのまとまりとして認識します。

こうしたまとまりをチャンクと呼びます。

IIBC 公式の Part 7 速読教材でも、スラッシュを使い、チャンク単位で英文を語順のまま理解するトレーニングが採用されています。

知らない単語が出るたびに読む流れを止めている

TOEIC Part 7 では、知らない単語が一つもない文章だけが出るとは限りません。

未知語を見るたびに「何だったかな」と止まると、前後の意味まで忘れ、返り読みが増えます。

まず、その単語が分からなくても文の大意を取れるか考えましょう。

たとえば、

“Customers can redeem the voucher at any participating store.”

で redeem が分からなくても、customers、voucher、store などから「顧客が店舗で何かできる」という大枠は取れます。

設問で redeem の意味自体が重要なら周辺を丁寧に読みますが、そうでなければ一度進みます。

IIBC 公式教材でも、知らない語句があっても止まらず読み進める練習が、速読基礎トレーニングとして紹介されています。

関係詞・分詞・前置詞句の修飾関係で混乱している

TOEIC の英文では、名詞の後ろに情報が追加されることがよくあります。

“The employees working in the Tokyo office”

なら、working 以下が employees を説明しています。

“The documents on the desk near the entrance”

なら、on the desk や near the entrance が名詞へ情報を追加しています。

この構造に慣れていないと、「どこからどこまでが主語なのか」を確認するために何度も戻ります。

改善するには、精読時に修飾関係を明確にします。

「どの語がどの語を説明しているか」を一度正確に理解したうえで、同じ英文を前から読み直します。

読んだ内容を保持できず同じ箇所に何度も戻っている

英文は一文ずつ理解できるのに、段落を読み終えると前の内容を忘れてしまう人もいます。

この場合、単語や文法ではなく、情報を意味のまとまりとして保持できていない可能性があります。

たとえばメールを読んだら、

「目的=会議変更」

「理由=担当者が不在」

「新日時=火曜午後」

という程度に整理します。

細かい英文を丸暗記する必要はありません。

文章を読んだ直後に一文で要約する練習をすると、「何を残して何を捨てるか」の判断が上手くなります。

返り読みを減らす TOEIC 速読の基本手順

返り読みを減らすには、単に「戻らない」と決めるだけでは不十分です。

戻らなくても理解できる読み方を身につける必要があります。

主語・動詞・目的語を見つけて文の骨格をつかむ

長い英文ほど、まず文の骨格を見ます。

たとえば、

“The marketing team responsible for the new campaign will present its proposal to the board tomorrow.”

なら、骨格は、

“The marketing team will present its proposal.”

です。

responsible for the new campaign は team を説明し、to the board と tomorrow が追加情報です。

この骨格が見えれば、途中の修飾表現が長くても文全体を見失いにくくなります。

初心者は精読時に、主語へ S、動詞へ V と印をつけてもよいでしょう。

ただし最終目標は、印がなくても一読で骨格を認識できる状態です。

英文を意味のまとまりごとに前から理解する

次に、英文をチャンク単位で処理します。

たとえば、

“Employees interested in the training program / should submit the form / by the end of this month.”

なら、

「研修プログラムに興味がある従業員は」

「フォームを提出すべき」

「今月末までに」

という順で理解します。

英文を最後まで読んでから日本語へ並べ替える必要はありません。

IIBC 公式の速読教材でも、意味のまとまりであるチャンク単位で語順のまま理解する方法が紹介されています。

前置詞句や関係詞節を直前の語に結びつけて読む

返り読みを減らすには、修飾表現を読んだ瞬間に「何を説明しているのか」を処理します。

“the restaurant near the station”

なら near the station を読んだ時点で restaurant へ結びつけます。

“the report that Mr. Smith submitted yesterday”

なら that 以下を report の説明として処理します。

後からまとめて構造分析するのではなく、その場で関係を確定させます。

この処理が自動化すると、文末まで行ってから「どの名詞を説明していたのか」と戻る回数が減ります。

接続詞から因果・対比・追加などの展開を予測する

文章を速く読む人は、次に来る内容を完全に受け身で待っているわけではありません。

because が出れば理由、however なら逆方向、therefore なら結果、in addition なら追加情報を予測できます。

たとえば、

“Sales increased significantly last quarter. However, …”

まで読めば、次には何らかのマイナス情報や対照的な内容が来る可能性があると構えられます。

この予測があるだけで、次の文を理解しやすくなります。

接続表現は TOEIC Part 6 だけでなく、Part 7 で文章全体の流れを把握するうえでも重要です。

代名詞・指示語が何を指すかその場で確認する

it、they、this、these などを読み飛ばすと、その後の内容が曖昧になります。

“These changes will reduce operating costs.”

と出たら、その場で「these changes=何?」を確認します。

前文に営業時間短縮と業務統合が書かれていれば、その 2 つを指していると理解できます。

分からないまま読み進めると、数文後に意味が崩れ、結局前へ戻ることになります。

返り読みを減らすポイントは、疑問点をすべて無視することではなく、後の理解に必要な情報だけその場で解決することです。

分からない単語があっても文全体の要点を取り続ける

未知語が出たら、「この語が分からないと文全体が理解できないか」を判断します。

たとえば、

“Due to unforeseen circumstances, the seminar has been postponed until next month.”

で unforeseen が分からなくても、seminar、postponed、next month が分かれば、「何らかの事情でセミナーが来月に延期された」という重要情報は取れます。

本番ではそこで止まりません。

復習では unforeseen を調べて語彙へ追加します。

本番では流れを守り、復習では穴を埋める。

この役割分担が速読では重要です。

読み終えた後に一文で内容を要約する

速読トレーニング後は、「速く読めた」で終わらせず、一文要約を行いましょう。

たとえばメールなら、

「会社が顧客に商品の配送遅延と新しい到着予定日を知らせるメール」

という程度で構いません。

要約できなければ、目では英文を追っていても意味を保持できていない可能性があります。

ここで本記事独自の 3 指標が役立ちます。

WPM は上がったか。内容を説明できるか。不要な返り読みは減ったか。

3 つが同時に改善している状態を目指してください。

TOEIC 速読力を伸ばすトレーニング方法

TOEIC 速読力は、速く読む練習だけでは作れません。

精読で正確さを作り、音読や反復読で処理を自動化し、最後に時間制限を入れるという順番がおすすめです。

精読で単語・文法・構文を正確に理解する

最初の工程は精読です。

意味の分からない単語を調べ、主語・動詞・修飾関係を確認します。

設問付きの教材なら、正解根拠も確認してください。

この段階では時間を気にする必要はありません。

「なぜこの英文を一度で理解できなかったか」を明確にします。

たとえば返り読みの原因が関係代名詞だったなら、同じ構造の例文を数文練習します。

速読トレーニングの目的は、読めない英文を力ずくで速く読むことではありません。

正確に読める英文の処理時間を短くすることです。

スラッシュリーディングで意味の区切りを可視化する

精読後は英文へスラッシュを入れます。

“Because of the heavy rain / expected this afternoon, / the outdoor event / has been moved / to the main hall.”

のように意味のまとまりで区切ります。

最初は細かく区切っても構いません。

慣れてきたら、

“Because of the heavy rain expected this afternoon / the outdoor event has been moved to the main hall.”

のように一度に処理する範囲を広げます。

IIBC 公式教材でも、スラッシュ読みは Part 7 速読の基礎トレーニングとして採用されています。

音読で英語の語順に沿った処理を定着させる

精読・スラッシュリーディングが終わった英文は、音読素材としても使えます。

音読すると、基本的には英文を前から処理し続ける必要があります。

後ろから日本語へ並べ替えながら音読することは難しいため、英語の語順で意味を取る練習になります。

ただし、意味を考えず文字だけ読み上げないようにしましょう。

チャンクごとの意味をイメージしながら音読します。

Part 7 の英文に読み上げ音声が付いている教材なら、音声と同程度のテンポを目標にする方法もあります。IIBC 公式速読教材でも、仕上げとして音声の速度に合わせて文書を読む練習が採用されています。

復習済みの英文を繰り返し読み処理を自動化する

一度精読した英文は、翌日にもう一度読みます。

初回より速く読めるか確認してください。

第二言語学習者を対象とした反復読研究では、同じ英文を繰り返し読む方法によって読解速度が改善した例が報告されています。一方で、新しい文章への速度向上の転移が明確でなかった結果もあり、反復読だけで万能と考えるべきではありません。

TOEIC 対策では、同じ英文の反復と、新しい英文での実戦練習を組み合わせることが重要です。

同じ英文で「処理の型」を作り、新しい英文でその型を使えるか確認します。

一定時間で読むタイムドリーディングを行う

正確に読めるようになったら、時間制限を入れます。

たとえば 250 語の英文を、

1 回目:150 秒

2 回目:130 秒

3 回目:115 秒

というように記録します。

ただし、毎回最速記録を更新する必要はありません。

120 秒で正答率 90%だったのに、100 秒へ急いだ結果 60%になったなら、120 秒前後へ戻します。

速読の負荷は、正確さが崩れない範囲で少しずつ上げましょう。

読後に要約して速度と理解度を同時に確認する

タイムドリーディングの後には要約を入れます。

「誰が」「何について」「どのような結論になったか」の 3 点を答えるだけでも十分です。

たとえば、

「ホテルが宿泊客へ改装工事による施設利用制限を知らせている」

と答えられれば、大意は取れています。

さらに TOEIC 形式の設問があれば、正答率も記録します。

WPM だけ上げると「速く読んだつもり」になりやすいため、理解確認を必ずセットにしてください。

徐々にスラッシュを減らして補助なしで読む

スラッシュリーディングは有効な学習補助ですが、本番で自分で細かくスラッシュを書く時間はありません。

そこで、徐々にスラッシュを減らします。

最初は、

The new store / located near the station / will open / next Monday.

だったものを、

The new store located near the station / will open next Monday.

へ広げます。

最終的にはスラッシュを書かなくても、頭の中で自然にチャンクが認識できる状態を目指します。

補助具を使うことが目的ではなく、補助具なしで同じ処理ができる状態を作ることが目的です。

Part 別に活用する TOEIC 速読のコツ

TOEIC 速読は Part 7 だけの技術ではありません。

Part 5・6 でも必要な情報を素早く見分けられれば、Part 7 へ時間を残せます。

Part 5 は文の骨格を素早く見抜いて必要な範囲だけ読む

Part 5 では、すべての英文を最初から最後まで丁寧に読む必要がない問題があります。

選択肢が、

(A)success

(B) successful

(C) successfully

(D)succeed

なら、品詞問題だと予測できます。

この場合、空欄の前後から必要な品詞を判断できれば、全文の細かな意味理解は不要です。

一方、意味の異なる 4 単語が並んでいる語彙問題では、文脈を読む必要があります。

速読とは常に速く全文を読むことではなく、読む必要がある範囲を速く判断することでもあります。

Part 6 は空欄の種類に応じて読む範囲を変える

Part 6 でも、品詞問題なら一文中心、接続表現なら前後数文、文挿入ならさらに広い文脈を見るというように読解範囲を変えます。

すべての空欄について文章全体を精読すると時間がかかります。

反対に、すべて空欄周辺だけを見ると文脈問題を落とします。

Part 6 では「速く読む」より、必要なときだけ読む範囲を広げることを意識してください。

Part 6 の文脈問題では接続表現と指示語を追う

文脈問題を速く処理する手がかりが、however、therefore、in addition などの接続表現と、this、these、they などの指示語です。

文章全体を何度も読み直さなくても、論理展開と指示対象を追うことで正解候補を絞れる場合があります。

たとえば“This change”が出たら、直前の何が「変更」なのかを確認します。

接続語や指示語は、文章の構造を短時間で把握するための標識です。

Part 7 は設問を確認して探す情報を明確にする

Part 7 では、本文を読む前に設問を軽く確認します。

目的、人物、日時、理由、次の行動など、何を探すか決めます。

IIBC 公式の速読教材でも、設問について何が問われているかキーワードをつかんでから解答へ進むトレーニングが採用されています。

ただし、すべての選択肢を暗記しようとして時間を使わないようにしましょう。

先読みは「答えを覚える作業」ではなく「検索条件を設定する作業」です。

固有名詞・数字・日付を手がかりに根拠箇所を探す

詳細問題では、人名、企業名、商品名、日付、金額などが検索キーになります。

設問に“July 15”とあれば、本文中の日付周辺へ移動します。

ただし、日付が複数ある場合は注意してください。

「当初 7 月 15 日だったが 22 日に変更された」という文章なら、最終的な予定を問われたときの答えは 22 日です。

キーワードは正解そのものではなく、正解根拠の候補地点を見つける道標として使います。

ダブル・トリプルパッセージは文書間の関係を整理する

複数文書問題では、3 文書をすべて暗記しようとしないことが重要です。

たとえば、

文書 A=広告

文書 B=顧客メール

文書 C=注文確認

と役割を整理します。

料金を聞かれたら A、顧客の希望なら B、実際に購入した内容なら C へ戻ればよいと分かります。

共通する人物名、商品名、日付などで文書をつなぎます。

速読では、情報を覚える能力だけでなく、必要な情報がどこにあるかを保持する能力が重要です。

NOT 問題や照合問題で本文を往復しすぎない

NOT 問題では、4 選択肢を本文と照合する必要があるため時間がかかりやすくなります。

本文を毎回最初から読み直すのではなく、選択肢のキーワードから該当箇所へ戻ります。

ダブル・トリプルパッセージの照合問題も同様です。

まず、「この設問は 1 文書だけで解けるか、複数文書が必要か」を判断します。

必要な文書だけを往復することで無駄な再読を減らせます。

TOEIC 速読トレーニングの計測・復習・学習計画

TOEIC 速読は感覚だけで練習すると、「以前より速くなった気がする」で終わりがちです。

数字と復習記録を使って成長を確認しましょう。

WPM と正答率をセットで記録する

毎回のトレーニングで、WPM と正答率を記録します。

たとえば、

日付WPM正答率返り読みコメント
1 日目10585%7 回関係詞で戻る
7 日目11888%4 回語順処理が改善
14 日目13086%3 回未知語で停止
28 日目14290%2 回Part7 でも安定

このように記録すれば、速度だけが上がって理解度が落ちていないか確認できます。

WPM は比較指標であり、特定の数字へ到達すれば必ず何点取れるというものではありません。

最終的には TOEIC 形式の問題で成果を確認してください。

速く読めても内容を説明できない英文は精読に戻す

WPM が高くても、読後に「何の話だったか分からない」という場合は速読ではなく読み飛ばしになっています。

その英文は再び精読します。

知らない語を調べ、文構造を確認し、内容を理解したうえで再度時間を測ります。

速読と精読は対立する方法ではありません。

精読が速読の修理工程です。

読めない場所が見つかるたびに精読へ戻り、その原因を取り除きます。

読み返した箇所と返り読みの原因を記録する

「今日は返り読みを 5 回した」と回数だけ記録するより、場所と原因を書きましょう。

関係詞で 2 回、未知語で 1 回、長い主語で 1 回、内容を忘れて 1 回、と分類します。

もし毎回関係詞で戻っているなら、速読練習を増やすより関係詞構文の処理練習をした方が効果的です。

返り読みは症状であり、その原因は語彙・文法・構造・情報保持などさまざまです。

間違いを語彙・文法・構文・根拠・時間に分類する

TOEIC 形式の問題で誤答したら、原因を 5 つに分類します。

「語彙」は単語を知らなかったケース。「文法」は品詞や時制を誤ったケース。「構文」は主語や修飾関係を誤読したケース。「根拠」は本文中の正しい情報を探せなかったケース。「時間」は分かる問題だったが時間不足で解けなかったケースです。

たとえば時間ミスが多いのに精読ばかりしているなら、タイムドリーディングを増やします。

語彙ミスばかりなら、WPM 測定より単語学習を優先します。

同じ英文を翌日・3 日後・1 週間後に再読する

一度精読した英文は、翌日、3 日後、1 週間後に再読します。

初回より処理時間が短くなり、内容理解を保てているか確認します。

反復読に関する EFL 研究では、同一文章の読解速度向上が報告される一方、新しい文章への転移については研究上の限界も示されています。

そのため、同じ英文だけを何十回も読むのではなく、

理解済み英文で自動化

新しい英文で応用

というサイクルを作るのがおすすめです。

1 週目は精読・2 週目は音読・3 週目は速度を強化する

4 週間で TOEIC 速読を練習する場合、負荷を段階的に上げます。

1 週目は精読中心です。Part 7 の短めの文書を使い、単語・文法・構造を確認します。

返り読みが起こった箇所も記録します。

2 週目は音読とスラッシュリーディングを増やします。英文の語順に沿って意味を取る感覚を作ります。

3 週目はタイムドリーディングを強化します。WPM と正答率を毎回記録し、理解を維持できる範囲で徐々に速度を上げます。

4 週目は Part 7 と 75 分の通し演習で成果を確認する

4 週目は本番形式へ移ります。

最初に Part 7 の問題を時間制限付きで解きます。

現行 Part 7 は 54 問であり、IIBC 公式の速読教材でも、最後に本番形式で制作された Part 7 全 54 問へ取り組み、時間を確認する構成が採用されています。

その後、Part 5・6 を含むリーディング 100 問を 75 分で解きます。

ここで初めて、速読トレーニングが TOEIC 全体へ効果を発揮しているか判断できます。

読解速度よりも時間内の正答数が増えたかを最終指標にする

WPM は便利な学習指標ですが、TOEIC のスコアは WPM そのものを測るものではありません。

最も重要なのは、同じ制限時間で以前より多くの問題を正確に解けるようになったかです。

たとえば以前は Part 7 で 15 問残っていた人が、速読トレーニング後には 5 問まで減り、正答率も維持できているなら大きな進歩です。

逆に WPM は 30 上がったのに未回答数が変わらないなら、設問処理や Part 5・6 の時間配分がボトルネックかもしれません。

TOEIC 速読の最終評価は、「速く読めたか」ではなく「時間内の正答数が増えたか」で行いましょう。

よくある質問

TOEIC の速読は何から始めればよいですか?

まず現在の WPM と内容理解度を測りましょう。

速く読めない原因が、語彙・文法・構文にある場合は精読から始めます。ゆっくりなら十分理解できる人は、スラッシュリーディングや反復読、タイムドリーディングへ進みます。

いきなり読む速度だけを上げないことが重要です。

TOEIC では何 WPM を目指せばよいですか?

WPM は教材の難易度や現在の英語力によって変わるため、「この数字なら必ず○点」という固定目標はおすすめできません。

まず自分の基準値を測り、理解度を維持したまま少しずつ上げましょう。

TOEIC 対策では WPM だけでなく、Part 7 の正答率と未回答数を一緒に見ることが重要です。

返り読みは完全になくした方がよいですか?

完全になくす必要はありません。

読解研究では、必要な再読が内容理解のための再処理として機能する場合も示されています。

TOEIC 対策で減らしたいのは、日本語へ並べ替えるための習慣的な返り読みや、構文を理解できず何度も同じ場所へ戻る状態です。

音読は TOEIC の速読にも効果がありますか?

精読済み英文の音読は、英文を前から語順どおりに処理する練習として活用できます。

ただし、意味を考えずに声だけ出しても速読には結びつきにくいでしょう。

意味のまとまりを意識し、英文を読んだ瞬間に内容を理解しながら音読してください。

TOEIC Part 7 が最後まで終わらない場合は速読だけ練習すればよいですか?

速読だけで解決するとは限りません。

Part 5・6 で時間を使いすぎている場合、Part 7 開始時点ですでに残り時間が不足しています。

現行リーディングは 75 分・100 問で、Part 5 が 30 問、Part 6 が 16 問、Part 7 が 54 問です。

Part 別の所要時間を測り、どこで時間を失っているか確認してから対策しましょう。

まとめ

TOEIC 速読で目指すべきなのは、目を速く動かすことでも、英文を大量に飛ばして読むことでもありません。

重要なのは、英語を前から意味のまとまりで処理し、理解度を保ちながら不要な返り読みを減らすことです。

最初に語彙・文法・構文を精読で確認し、スラッシュリーディング、音読、反復読、タイムドリーディングの順に処理を自動化していきます。

学習効果は「WPM」だけではなく、速度×理解度×返り読み率の 3 指標で測りましょう。

そして最終的には、Part 5・6・7 を含む 75 分の演習で「時間内に正解できる問題が何問増えたか」を確認します。

TOEIC で使える速読力とは、英文を雑に速く読む力ではなく、一度の読解で必要な意味と設問の根拠を回収できる処理能力です。

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